OSS(Open Source Software)は個人や企業において利用が拡大しています。
私は仕事やプライベートでOSSを使うことが多くあります。
しかし、具体的にOSSやOSSライセンスについて知っているかというと、そうでもないことから、今回あらためて学びました。
参考とした書籍はこちら。
その他、情報処理技術者試験テキストやインターネットからも情報を得ました。
それらを踏まえて、、
今回はOSSやOSSライセンスについて、個人や企業が知っておくべきことをブログします。
必要な前提知識
OSSはソフトウェアなので、一般的なソフトウェアの知識がないと理解するのが困難です。
最低限の知識は次の用語です。
- ソースコード・・・人間が読めるプログラム(テキスト形式)
- オブジェクトコード・・・マシンが読めるプログラム(バイナリ形式)
- コンパイラ・・・ソースコードをオブジェクトコードに変換するプログラム
- ライブラリ・・・プログラムから利用できる部品群
- リンカ・・・オブジェクトコードとライブラリをリンクさせて実行形式ファイルを生成するプログラム
- 実行形式ファイル・・・OSなどから起動して利用できる状態のプログラム
一般的にユーザへ販売されるのは実行形式ファイルですが、OSSはライブラリの形態で配布されることもあります。
その他には著作権法に関して次の知識も必要です。
- 著作権は創作された時点から権利が生ずる
- 人格権(公表、氏名表示、同一性保持)は譲渡できない
- 財産権(複製、公衆送信、二次利用・・・他)は譲渡できる
あとは、著作権はベルヌ条約という国際ルールで守ることが約束されている権利です。日本国内では著作権法があります。
OSS
OSSとOSSライセンスは異なる定義です。
OSI(Open Source Initiative)というOSSの普及を促進している団体がOSD(Open Source Definition)という10項目でOSSを定義しています。
重要なのはその内の3つです。
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自由な再頒布
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ソースコード(「ソースコード公開」も含む自由な利用)
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派生物(Derived Works. 派生物の自由な利用)
再頒布ができて、ソースコードが公開されていて、派生として改造できるソフトウェアということです。
一方、GNUプロジェクトと呼ばれる「ソフトウェアの自由」を謳う団体もあります。この団体は自由ソフトウェアを4項目で定義しています。
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どんな目的で実行するのも自由
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動作を研究し改造するのも自由
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コピーを再配布するのも自由
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改変した版を再配布するのも自由
このように見ると、基本的な考え方はOSDも自由ソフトウェアも似ています。
OSSライセンス
OSSライセンスはOSSを利用する時に、著作権法に抵触しない方法を著作者が示したものです。
これを守らないと著作権の侵害となり刑事罰に問われ犯罪となります。
OSSライセンスには4種類があります。
BSD(Berkeley Software Distribution)
BSDは著作権表示、ライセンス本文、免責条項を頒布時に、ユーザが参照できるようにしておくことが必要です。
MPL(Mozilla Public License)
BSDに加え、OSSのソースコードをユーザが参照できるようにしておくことが必要です。
LGPL(GNU Lesser General Public License)
MPLに加え、結合著作物というOSSを包含するプログラム全体のオブジェクトコードを提供し、それらのリバースエンジニアリング(オブジェクトコードからソースコードを逆生成すること等)を許可することが必要です。
GPL(GNU General Public License)
BSDに加え、結合著作物というOSSを包含するプログラム全体のソースコードをユーザが参照できるようにしておくことが必要です。
OSSとOSSライセンスの違い
OSSはソフトウェアがOSSと呼ばれるための定義、OSSライセンスはOSSの利用において著作権法に抵触しない方法を著作者が示したものです。
よくOSSとOSSライセンスは混同されて、OSSであれば自由に使ってもよいというような解釈をされるケースが多いとのこと。
著作権法における「利用」と「使用」
著作権法における「利用」と「使用」に関する次の違いを理解することも重要です。
- 利用・・・著作物の複製、公衆送信、二次利用を行うこと
- 使用・・・著作物を見る、聞くなどの享受のこと
著作権法では、著作者の許可なしに「利用」すると著作権侵害となりますが、「使用」することは何の問題もありません。
このため、個人が自分のため、企業が自社のため「使用」することは自由となります。
研究・教育における特許権との違い
特許権では研究や教育などの一部用途においては、その利用を特例的に許可するという扱いがあります。
「研究に権利は及ばない」との考え方です。
このため、著作権も同じように研究や教育であれば、利用しても良いという解釈をされるケースが多いとのこと。
著作権ではそのような扱いはなく、また、営利・非営利などの目的などによる特例的な扱いもありません。
OSSライセンスと訴訟
OSSライセンスを守らないと訴訟につながるという話もよくあります。これはOSSライセンスを契約と混同していることに起因するとのこと。
OSSライセンスを守らないと、著作権侵害となるので、訴訟どころか、刑事罰となり犯罪になります。
ということで、OSSとOSSライセンスについて個人的な備忘を兼ねてブログしてみました。
一番驚いたのは、OSSライセンスを守らないと著作権の侵害になり、刑事罰を受ける可能性があるとのこと。
法律は「知らなかった」では済まされないので、OSSを扱い方は常に正しい理解をして行動する必要があります。